MBSEがいまいち浸透しない理由
10年ぐらい前からMBDの発展型の一つとして、
システムズエンジニアリングを取り入れたMBSEの話がでていますが、
いまいち現場に浸透していないと感じています。
MBSE・・・Model-Based Systems Engineering
私も数年前にSysMLを使用したMBSEの導入検討をしたことがありますが、
複雑な制御システムを開発する現場に、適用するのが難しいと感じております。
※ここ数年は調査してないので、もし変化あるようでしたら教えてください。
適用が難しい原因とは?
MBSEの実績を見ると、独立したシステムに適用できた例はチラホラ見つかります。
ただ、大規模システムに適用した事例は少なく、
ステークホルダーが少ない、関係部署が少ない、ECUの数が少ない等といった
ある程度の範囲が絞られた条件下で成功しているようです。
では、範囲が広がると、なぜ適用しづらくなるのか?
私の見解としては、日系企業の組織構造によるものだと思います
日系企業の組織構造の何が問題なのか?
日本の製造業の一番の強みとしては、品質が挙げられますが、
これは量産開発工程での現場における改善サイクルによるものだと思います。
極端に言うと、上流のシステム設計工程でイマイチなものがアウトプットされても
下流の量産開発工程で、この改善活動により、それなりの品質が良いものが作れてしまいます。
SOP、SOSが決まっている日程で、その日程を守り、作りきる力はとても凄いことだと思いますが、
一方、それにより現場の力が強くなっています。
例えば、量産制御開発工程では、部署がECU毎に分かれていますが、
そこに開発を強く推進できる優秀な人が集まりやすく、
また部署(チーム)間の垣根もあるため、開発情報が共有されづらい状態となっております。
この状況でMBSEを適用としても、情報も少なく、
部署間に垣根があるため、システム的な目線で開発することはとても難しい状況だと思います。
毎年、情報共有が目標になっている部署とか、ありますよね、、、
他方、欧州の開発スタイルを聞くと、システム部署の権力が強く、
システム部署に依頼をしないと、各ECUの開発ができない状況らしいです。
また、下流工程に行けば行くほど、単純作業のワーカーとしての要素が強く、
如何にルーティン作業、自動化に出来るのかといったところに着目しているようです。
そのため、効率的な開発スタイルで、新しいものを生み出せる力があるようにみえます。
ただし、微妙に品質が悪かったり、締め切りを守らないという欠点は残りますが。。。。
まとめ
このように欧州とそもそも前提条件が違うため、
手法としてのMBSEやSysMLだけ導入を考えると、導入が難しいのは当然の結果になります。
では、どうすれば良いのか?
基本的には欧州の文化を取り入れて、システム設計に主眼を置いた組織構造へ
部署の再構成が必要と思っていますが、、、、、
大企業では色々なしがらみがあるため、厳しいかなと思っています。
ただ、日本の製造業を強くするためにはMBDやMBSEといった開発手法論だけではなく
組織論を深めていく取り組みが必要だと感じています。
また考えが纏まれば記事にしてみます。