既存のC言語による制御ソフト開発が、少しずつ苦しくなっていませんか?
長年使い続けてきたC言語の制御ソフトは、企業にとって大切な技術資産です。
実機で十分に動作し、過去の不具合対応やノウハウも蓄積されているため、簡単に置き換えられるものではありません。
一方で、製品の高機能化や派生機種の増加に伴い、次のような問題が起きることがあります。
- 少しの仕様変更でも、影響範囲の調査に時間がかかる
- 同じような処理が複数の場所に存在している
- 担当者によってコードの書き方や構造が異なる
- ベテラン担当者でなければ、処理内容を理解できない
- 流用開発のはずなのに、毎回多くの工数がかかる
こうした問題は、C言語そのものが悪いという話ではありません。
長期間にわたって仕様変更や機能追加を繰り返してきたことで、当初は整理されていたソフトウェアが、少しずつ複雑になっている可能性があります。
全面的な作り直しは、必ずしも現実的ではありません
ソフトウェアが複雑になってきた場合、ゼロから作り直したくなることもあります。
しかし、長年使われてきたソフトウェアには、設計書に残っていない細かな仕様や、過去の不具合対策が含まれていることがあります。
そのため、全面的な作り直しには大きなリスクが伴います。
既存ソフトウェアの改善では、現在の資産を生かしながら、負担の大きい部分から少しずつ整理していくことが重要です。
例えば、次のような進め方が考えられます。
- 処理の重複を整理する
- 共通プラットフォームを作成する
- インタフェースを整理する
- 関数やモジュールの役割を明確にする
- 仕様とソースコードの対応関係を整理する
- 単体テストや回帰テストを自動化する
一般的には、このような取り組みをリファクタリングと呼びます。
外部から見た動作を大きく変えずに、内部の構造を整理し、今後の変更や保守を行いやすくしていく考え方です。
モデルベース開発を活用したリファクタリングも、選択肢の一つです
既存のC言語ソフトウェアを改善する方法は、一つではありません。
通常のC言語によるリファクタリング、設計書の整備、テスト自動化など、現在の開発環境に合った方法を選ぶことが大切です。
その中の一つとして、モデルベース開発を活用する方法もあります。
例えば、既存ソフトウェアのうち、次のような部分をモデルとして整理します。
- 状態遷移が複雑な制御
- 条件分岐が多い判定ロジック
- 複数の入力から目標値を計算する処理
- 頻繁に仕様変更が発生する機能
- 派生製品ごとの差分が多い部分
モデルを使うことで、処理の流れや状態の変化を視覚的に確認しやすくなります。
また、入力条件を変えながらシミュレーションすることで、実機が完成する前に制御ロジックの動きを確認できる場合があります。
ただし、既存のC言語ソフトウェアを、すべてモデルに置き換える必要はありません。
既存コードをそのまま残した方がよい部分もあれば、モデル化することで整理しやすくなる部分もあります。
重要なのは、C言語とモデルのどちらか一方に統一することではなく、それぞれの特性を見ながら使い分けることです。
小さな範囲から試すことが重要です
モデルベース開発を活用する場合も、最初から大規模な導入を行う必要はありません。
まずは、現在特に負担が大きい一つの機能を選びます。
例えば、
- 仕様を大きく変更する機能
- 新規追加の機能
- 機能仕様変更が頻繁に発生する機能
- 不具合が繰り返し発生している機能
- 今後、複数の製品へ展開する予定の機能
などが候補になります。
その機能について、既存コード、仕様書、テスト結果などを確認し、処理内容を整理します。
そのうえで、
- C言語のまま構造を整理する
- 一部をモデルとして可視化する
- モデル上でシミュレーションする
- モデルからCコードを生成する
- 既存コードとモデルを組み合わせる
といった方法を比較します。
小さな範囲で試すことで、モデル化による効果だけでなく、必要な工数や教育、既存プロセスへの影響も確認できます。
モデル化すること自体が目的ではありません
モデルベース開発を導入すれば、すべての問題が自動的に解決するわけではありません。
モデルを作成しても、構造やルールが整理されていなければ、モデルそのものが複雑になることがあります。
また、既存コードの仕様が十分に理解できていない状態でモデル化すると、現在の問題をそのままモデルへ移してしまう可能性もあります。
そのため、最初に確認すべきなのは、ツールの導入ではありません。
- どの工程に時間がかかっているのか
- どの機能で手戻りが多いのか
- 何が属人化しているのか
- 将来どのような仕様変更が想定されるのか
- どこまでを改善対象にするのか
といった現在の開発状況を整理することが先になります。
その結果、C言語のリファクタリングが適している場合もあれば、テスト自動化が先になる場合もあります。
一部の制御ロジックについては、モデルベース開発を活用した方が整理しやすいこともあります。
既存資産を生かしながら、今後の開発を楽にする
長年使われてきたC言語ソフトウェアは、決して捨てるべき古い資産ではありません。
一方で、変更や保守に多くの時間がかかる状態を放置すると、新しい機能の開発に使える時間が少なくなってしまいます。
大切なのは、既存資産を否定することではなく、今後も活用し続けられる形に整えていくことです。
C言語によるリファクタリング、設計の整理、テスト自動化、モデルベース開発など、改善方法には複数の選択肢があります。
現在の開発状況や製品特性を確認しながら、負担の大きい部分から段階的に改善していくことが、現実的な進め方ではないでしょうか。
Spark Engineeringでは、既存のC言語資産や現在の開発プロセスを確認し、モデル化が適している部分と、既存の方法を継続した方がよい部分を整理します。
全面的なモデルベース開発への移行を前提とせず、小さな範囲での検証や、既存コードとモデルを組み合わせた改善についてもご相談いただけます。


