ツール導入の2つの視点

「うちのプロセスには合わない、費用対効果が薄い」


ツール導入をディスカッションしていて、たまに言われる言葉です


私としては、その部署や会社のプロセスを完全に理解していないため、
正しい判断なのか良くわからないですし、
ただの断り文句なのかなとも感じております


ただし、ツール導入によるプロセス改善は2つの視点があり、
どちらの視点から見ているかで、考え方が異なります


一つは、今あるプロセスを中心に考える場合です


ツールを使用して自働化、効率化、高品質化が目的になります
いわゆる、人の作業をツールによって置き換える、あるいは支援する方法です

ツールによる時間短縮による費用対効果が説明しやすいため、
周りからも理解や承認が得られやすいです


一方、デメリットがあって、現在のプロセスをベースにツール導入するため、
ある程度まで改善すると、その先から打ち手がなくなり、頭打ち感がでてきます


こうなると、タイトルのように新規ツール導入を検討しても、
「うちのプロセスには合わない、あるいは費用対効果が薄い」となるケースがあります

もちろん、製品開発が成熟していて、
現状のプロセスで競合会社と戦えるのならば、この考え方でも大丈夫です
無理に新しいツールを導入する必要はないです


もう一つの考え方は、パソコンの処理能力、インフラが向上してきているため、
ツール導入をきっかけに、既存の組織やプロセスを変えてしまうやり方です
(今でいうと、デジタルトランスフォーメンションDXに近い考え方です)


ツールのパワーを最大限活かすために、
プロセス全体や組織を再設計(再編成)する必要があり、
従来のやり方とは、まったく逆のアプローチになります
※この話をすると、過去に苦い経験がある方から非常に否定されます


実現させるためには、既存のやり方や組織を壊すため、かなりハードルが高いです
また、ツールを扱うためのスキル習得が必要になるため、担当者からの抵抗も多くあります

実現の難易度は高いのですが、
今後の自動車開発が統合ECUやSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)など
新たなステージにシフトしていき、
従来の開発・組織・プロセスでは対応できない可能性があるため、
上記のアプローチを早めに検討しておく方がよいかと思います


まとめ

プロセス改善する際は上記のように二つの視点を持つことが重要です
1つ目だけの考え方で改善活動をしていると、いつかは閉塞感が出てくるため、
将来の課題を考慮しつつ、ツール導入を検討していきましょう